【百合レビュー】『今日はまだフツーになれない』周りとの違いを感じる人に読んでほしい、「フツー」の話

百合レビュー

こんちは!あどぽっぽです。(@adpoppo_blog)

今回は『今日はまだフツーになれない』の感想です。

作品紹介

作品名『今日はまだフツーになれない』
著者U-temo(ゆうても)
巻数全1巻
出版一迅社(百合姫コミックス)

「フツー」ってなに??モヤモヤしつつ、今日もなんとか生きている。

漫画家の山下と、フリーターの高橋。

高校生活も終わりかけ、就職も進学も志望しなかった二人は、進路希望の提出で居残りになり、それ以来なんだかんだで一緒にいる。

世の中の「フツー」にモヤモヤしながらも、なんとか前向きに生きていく。

はぐれ者二人のシニカルデイズ。

引用:マガポケ

フツーって何だろう?

多数派ってこと?昔からの常識に倣うこと?

私はあまり「普通」という言葉が好きではありません。

「普通」の対義語としては、意味によりますが「希少」「奇抜」「異常」「特別」などでしょう。

でも「普通」に当てはまらないもの=こっちの対義語に当てはまるものではないと思うんですよね。

かといってその中間などを表す言葉も思いつかない。

そのため「普通」とか、逆に「特別」とかも使わないように心がけています。

でも本作の主人公・山下と高橋が使う「フツー」での意味なら、使ってもいいかな、むしろ使いたいなと感じました。

本作の著者は『百合オタに百合はご法度です!?』のU-temo先生。

丸っこい雰囲気の可愛らしい絵が素敵ですが、本作は『百合オタ~』よりも線が細い感じがします。

私はこっちの方が好みですね。

作品の感想

自分だけの「フツー」を持つこと

周りには合わせているけど、実は美少女系が好きなのを隠している高橋。

女子高生の高橋は、友人がBLにハマっているのに美少女ゲームにハマっていたり、3年になっても進路が決まらなかったりと周囲とのズレを感じています。

そんな高橋を救ったのは、進路希望で居残り同士になった山下の「私は自分がしたいようにするんがフツーやと思う」という言葉。

人によって「フツー」は違うんだと気づき、自分の好きなものに正直でいることに決めます。

ここまでが第1話。

もうこの時点で「フツー」になれてるじゃん、タイトル詐欺!と思うかもしれません。

実際この結論に至るまでの話を作品の一つのテーマにしてもいいくらい、好きな言葉です。

多様性がずいぶん認められるようになった昨今ですが、周りと違う自分のありのままを「これが私のフツーだ」と言い切るのは、まだまだかなり難しいように思います。

それを高校生で言える山下、スゴイ。

「なんで?」と訊かないで、ただ受け入れて

高橋は卒業後はメイドカフェでバイトをします。

高校卒業後、山下は漫画家を目指しつつフリーター、高橋もメイド喫茶でバイトをする日々を送ります。

中でも私がお気に入りなのは、成人式の話。

バイト帰りに成人式に行った山下は、昔の友人たちに次々に「なんで振袖じゃないん?」と訊かれ「だるいな」と感じます。

ですが高橋だけは山下に何も訊かないでいてくれた。

小学生の頃にも、お気に入りのランドセルの色を「なんでその色なん?」と何度も周りに訊かれていた山下は、小学生の自分がやっと高橋に出会えた、と感じます。

私も人にあれこれと理由を訊かれるのは好きではないです。

人にやたらと「なんで?」と訊く人、別に揶揄したり悪意があるわけではないでしょうが、それについて大して興味があるわけでもないような気がします。

なんか他の人と違うことしてるな、なんで周りと合わせてないの?という感情からくる意図しない同調圧力を持つ言葉。

そして山下のように自分の「フツー」を持っている人には、常に言われ続けるだるさを感じる言葉。

だから何も訊かずに受け入れてくれる高橋みたいな人は、すごくありがたいですね。

二人だけの「フツー」に辿り着く

その後しばらくして、バイトを変えた高橋が少し離れた場所へ引っ越したことをきっかけに、山下は「高橋と一緒にいることを自分のフツーにしたい」と思い、二人は一緒に暮らすことを「自分たちのフツー」にすることを決める。

進撃の巨人とかゴールデンカムイみたいにゾクゾクと鳥肌が立つようなタイトル回収も好きですが、この作品のタイトル回収は心にしみじみ染み渡りますね(知りたい方は読んでみてね)。

また一緒にいることを「フツー」にした二人ですが、家ではそれぞれ自分の「フツー」に従うし、相手の「フツー」は気にしない。

あくまでルームシェア程度の描写で、百合感はそこまでありませんが、干渉しすぎないこの二人のあり方がすごくいいですね。

キャラクター感想

山下と高橋は全然違うキャラですが、どちらもすごく好きです。

素直に喜ぶ表情の山下はかわいいです。

山下は普段ダウナー系だけど、漫画の仕事で嬉しいことがあったりすると素直に喜ぶところがかわいいですね。

また「自分のしたいようにするんがフツー」という信条を持っているからこそ、他の人の「フツー」も無下にしない、誰よりも優しいキャラクターだと思います。

突然こんな顔になるところも魅力的な点。

高橋は高橋で、山下と比べると友人も多く空気も読めて表情豊かで分かりやすくかわいいです。

でも一番好きなのはちょっと半ギレ気味な表情。

このギャップも山下相手だからこそできるんだろうなー。

まとめ

あとがきでU-temo先生は「私はずっとこの漫画を描きたかったし誰かに読んでもらいたかった。」「この漫画が今の、昔の、これからの誰かに寄り添うことが出来たらいいな」と書いています。

私自身この漫画を読んでいて「あーこういうことあるよね」とか共感する部分が多く、色々と思うところがありました。

この感想を読んで、また一人でも『今日はまだフツーになれない』を読む人が増えてくれたらいいなと私も思います。

読んでいただきありがとうございました!

この作品を気に入った方にオススメ!

『フードコートで、また明日。』

成家慎一郎先生による、女子高生2人がフードコートでただただ駄弁る作品。

登場人物が少なく、同じく全1巻、1話完結なので手に取りやすくてオススメ。

小気味良いテンポで進む会話は、突然話題が転換しても全く違和感なし!

独特の雰囲気が心地よいです。

この二人も大概「フツー」じゃないんですよね。

でも山下と高橋みたいに自分なりの「フツー」を持ちながら周りの「フツー」に「なんだかなー」と思うのではなく、「おかしくね?」って言いながら徹底討論()します。

この会話が女子高生な意見だなって、見ててほっこりします。

舞台のフードコートが私の地元の程近くというのもなんだか親近感を感じていたり。

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