【ゲームレビュー】(PC)『planetarian – 雪圏球 -』美麗なビジュアルとサウンドで彩られた、「至極のファンディスク」

ゲームレビュー

こんにちは!あどぽっぽです。(@adpoppo_blog)

まだまだブログ的な文章を書くのに慣れません。むずかし~。

今回は『planetarian – 雪圏球(スノーグローブ) -』の感想です。

この記事には『planetarian – 雪圏球 -』と『planetarian ~ちいさなほしのゆめ~』のネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

作品紹介

対応ハードPC:DMM GAMESDLsiteなど
発売日2021年9月3日
ジャンルキネティックノベル
価格(税込)Ultimate Edition:4,950円
『雪圏球』単体:660円(※DL販売のみ)
推定プレイ時間約1時間
発売元ビジュアルアーツ
開発元Key
  • 『planetarian ~ちいさなほしのゆめ~』の短編小説をもとにしたキネティックノベル。
  • 一般的なアドベンチャーゲームと違い、選択肢は一切無し。
  • あくまで『ちいさなほしのゆめ』の外伝のような位置づけであり、良くも悪くもファン向け。
  • 本作『雪圏球』は2020年にOVA化もされている。
『ちいさなほしのゆめ』のおよそ1万年前、まだ平和だった時代。花菱デパートのプラネタリウムで働くロボット・ほしのゆめみは、稼働を始めて10年が経つ頃、勝手に職場を離れて出歩くようになった。職員の倉橋里美は街中に出たゆめみと話し、奇妙な行動の原因を知る。それはかつてのある約束が関わっていた。

良かった点

情緒漂うノスタルジックなビジュアル

マ○キヨ的なドラッグストアがある通りで客引きするゆめみ。

本編『ちいさなほしのゆめ』は、大規模な戦争によって街は荒れ果て自然は消滅し人類はただ死を待つだけのような、陰鬱とした時代が舞台でした。一方、今作『雪圏球』の時代はそのおよそ1万年前、私たちが暮らすような平和な現代です。

主な舞台は、観覧客の減少による経営難に苦しみながらも職員たちが創意工夫でなんとか頑張っているプラネタリウム。皆ゆめみのことが大好きで、職員の一人として仲良く彼女に接しており本当の意味でアットホームな職場です。客も少ないながらも小学生の子供のような常連客がついており、全体のゲームプレイを通じて暖かな雰囲気が感じ取れます。

陽光差す公園で一休みする里美(左)とゆめみ(右)

そしてこの雰囲気がよく表れているのが背景や1枚絵のような美しいビジュアル。『ちいさなほしのゆめ』では荒廃した様子しか見られなかった街並みの、本来の姿が描かれています。ビルが立ち並ぶ交差点、夕陽の差し込む商店街、閑散とした公園、手入れの行き届いたプラネタリウム。それらは行ったことのない場所のはずなのに、どこか懐かしい雰囲気にさせてくれます。それはおそらく、『ちいさなほしのゆめ』の未来の様子を知っているからかもしれません。

暖かな雰囲気が連続する途中には、ロボットによる失業問題、それによるデモの発生など、将来の危機の予兆を感じさせる場面があります。この場面があることにより、この物語が『ちいさなほしのゆめ』に繋がっていることをプレイヤーは思い出し、より一層、この今の穏やかな時代に愛着やノスタルジーが湧くようになります。頽廃を知っているからこそ、郷愁を感じるのです。

キャラクターデザインは『ちいさなほしのゆめ』と同じく駒都えーじさんが務めています。オリジナル版の発売から15年以上経過しており、デザインが劣化してしまってもおかしくないと思うのですが、むしろさらに洗練されてかわいくなっていますね。ゆめみファンの方は新規絵がたくさんありますので、必見です。

音楽

音楽鑑賞モード画面、ゆめみ百面相。

本作の魅力を引き立てている要素の一つには、BGMもあります。『ちいさなほしのゆめ』では戸越まごめさんが作編曲を務められており、“Gentle Jena”のような名曲も生み出されました。『雪圏球』では戸越さんは関わっておらず、Keyを代表する作曲家の折戸伸治さん、水月陵さん、そしてアニメ版から『planetarian』に携わっているどんまるさんがBGMを担当されています。

宮沢賢治の「星めぐりの歌」などカバーもあった『ちいさなほしのゆめ』に比べると、今作はオリジナル曲の分量が非常に増えています。そしてどれも名曲揃い!ピアノやキーボードの音色がしっとりと響く曲が多く、本作のノスタルジックな雰囲気を彩っています。

個人的にお気に入りなのはタイトル画面で流れる“Static World”。水月さんが作曲されており、キラキラしたピアノの音が、プレイ後の余韻に浸る心に優しく寄り添ってくれます。またどんまるさんの“雪圏球 ~Under the Snow~”“街角の空”も「ザ・Keyサウンド」という印象です。

エンディングテーマの“Snow Globe”の作曲は折戸伸治さんで、歌唱は安月名莉子さん。OVA版『雪圏球』の主題歌でもあります。安月名さんといえばアニメ版『やがて君になる』やゲーム『夢現Re:Master』など百合作品にも多数タイアップされている方です。こんな方が大好きなKey作品にも関わってくれたのは嬉しい限り!恥ずかしながら私はOVAの『雪圏球』をまだ見てなかったので今回が初試聴だったのですが、読後を爽やかに感じさせてくれる名曲でした。

まとめ

「本物の」花束を抱えたゆめみ。感慨深い…。

本作は小説として初公開され、ドラマCD化、『ちいさなほしのゆめ』および短編小説『星の人』のアニメ化、クラウドファンディングによるOVA化を経て遂に発売された、『planetarian』のキネティックノベルとしての正当な続編です。15年以上もの時を経てこうして形になるというのは、ファン冥利に尽きるというものです。

とは言っても、私は『ちいさなほしのゆめ』の原作をプレイし、アニメも見ていたのですが、4篇の短編小説については未読の状態でしたし、ドラマCDも聴いていませんでした。その状態でプレイしてもここまで感動できたのですから、発売からのファンの方にとっては非常に感慨深いでしょう。いわば「至極のファンディスク」です。ゲームの『ちいさなほしのゆめ』をプレイした方はもちろん、アニメ版『ちいさなほしのゆめ』や『星の人』をご覧になってゆめみが大好きになった方などにも、ぜひ手に取っていただきたい作品です。

また『planetarian』をご存じないという方にも、ぜひ『ちいさなほしのゆめ』から本作『雪圏球』まで見て頂きたいです(そんな方がこんなブログのこんな記事の下の方までご覧になっているかどうかは置いといて)。『planetarian』の入り口は現在、大きく3つに分けられます。オリジナルゲーム版『ちいさなほしのゆめ』か、アニメ版『ちいさなほしのゆめ』、そして映画『星の人』です。ゲーム版『ちいさなほしのゆめ』はiOSやAndroid含む各プラットフォームで500円程度で買えますし、プレイ時間は3時間程度です。またアニメ『ちいさなほしのゆめ』は約15分×5話、『星の人』は約2時間の映画ですが『ちいさなほしのゆめ』の内容も含んでおり、これ1本で完結できます。いずれもコンテンツの入門として非常に手軽だと思います。

さあ、『planetarian』をご覧になったことのあるお客様も、これからご覧になるお客様も…。

読んでいただきありがとうございました!

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